昔、水銀は薬として飲まれていた

古代の中国「秦」の始皇帝は、その絶対的権力と富を手に入れた独裁者ゆえに、老いと死を極端に恐れていました。

そのため始皇帝は不老不死を追い求め、辰砂(しんしゃ)を原料とした「丹薬」と呼ばれる秘薬を作り上げました。

しかし、原料となる辰砂とは、水銀が硫黄と結びついた「硫化水銀」のことで、
不老不死の効能はもちろんありません。

猛毒の水銀を含む丹薬を不老不死の薬と信じて飲んでいた始皇帝は、50歳で死去しています。

古代中国では『水銀』は聖なる薬であり、始皇帝以後、水銀を服用し中毒死した皇帝が何人も史書に残されています。

水銀製剤は、何百年もの間、万能薬として利用されてきました。
気分の落ち込み、便秘、梅毒、寄生虫など、どんな症状でも「とりあえず水銀!」と言われた時代があったのです。

16世紀から19世紀初頭には、カロメルという水銀製剤が使われていました。

服用すると強烈な下痢を引き起こします。
便秘から病気になると考えられていたので、
下痢はありがたい治療効果とみなされていたようです。

また、口からは大量の唾液が分泌されるようになります。

よだれをダラダラ垂らしていたら完全にアブナイ人と思ってしまうのですが、
当時の人達は唾液に混じって大量の毒素が流れ出していると考えていたので、
それが身体にいいと思っていたというのです。

16世紀の著名な医学者パラケルススは、
唾液が1.5リットル以上分泌された状態を水銀の適度な服用量とみなしていたといいます。

水銀は体内から毒を出してくれる妙薬と信じられていたようです。

そういわれると「デトックス効果がある」といわれて下剤をよろこんで飲む現代人とそう変わらないのでは…と思ってしまいます。

ナポレオン、推理作家のエドガー・アラン・ポー、アメリカ大統領ジャクソン、「若草物語」の作家ルイーザ・メイ・オルコットなど、水銀製剤を愛用、または一時期使用していたといいます。

アメリカのリンカーン大統領は、便秘や頭痛の薬として水銀を服用していたようです。
残念ながら水銀のせいで症状は悪化していたのですが…。

水銀を薬と信じて服用していた行為が古代中国どころか、比較的最近まで行われていたこに驚きます。

根拠が曖昧でも誰かに「効きますよ」と言われれば、信じていた時代だったのでしょうが…。

「新しい治療法」「代替医療」などを信じる前に、
一度、標準的な治療はどんなものか調べましょう。

また、それらの治療がどの程度実証されているものなのかを客観的に述べる情報に目を通しましょう。

わけのわからないトンデモ医療にだまされないように、
複数の公的な情報を調べましょう!

偏った意見だけを鵜呑みにするのは大変危険ですよ!

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