カネミ油症…食品公害の話

つい先日のニュースです。

”食用油に混入したダイオキシン類などに起因する食品公害「カネミ油症」をめぐり、
厚生労働省は8月、認定患者から生まれた子と孫の健康状態をつかむ初の「次世代」調査を始めました。”

「カネミ油症」あまり聞いたことない人が多いかもしれません。

カネミ油症とは、福岡県北九州市のカネミ倉庫製の食用米ぬか油「カネミライスオイル」を摂取した人々に、
吹き出物、色素沈着、手足のしびれ、めまい、肝機能障害などの症状が出て1968年に発覚した食品公害です。

汚染された油は西日本を中心に広く流通され、福岡県以外にも被害をもたらしました。

健康被害を訴えた人は1万4000人以上。

救済の手が伸びず、カネミ油症患者は現在もさまざまな後遺症に悩まされているのが実態です。

カネミ油症は、「YUSHO」と呼称され、国際的にも関心を集めました。

カネミ油症の原因は、製造工程で混入した化学物質によるものです。

米ぬか油は独特の臭いがあるため脱臭が必要でした。

米ぬか油の脱臭工程として、加熱したポリ塩化ビフェニール(PCB)をパイプに通して循環させていました。

その脱臭装置のパイプから化学物質が油に漏れ出してしまったのです。

さらに悲劇的だったのは、毒性の強いPCBが加熱によって化学反応を起こし、
猛毒のダイオキシン類にいつの間にか変化してしまったことでした。

そして、それを知らずに猛毒油を食べた人たちに深刻な健康被害をもたらしました。

「黒い赤ちゃん」が生まれた事例があります。
9ヶ月の早産で生まれた赤ちゃんは全身が紫色をしていました。
その姿を見た母親はパニックになり気絶してしまいました。
赤ちゃんは母乳ものどを通らないまま、わずか2週間で死亡しました。
※「黒い赤ちゃん」で画像検索すると出てきます。かなりショッキングなため閲覧注意!

この女性の血中のPCBやダイオキシン類の濃度は一般女性と差がないとされ、患者認定されていません。

患者認定されるには身体症状や原因物質の血中濃度が基準値超であることなどから判断されています。

患者団体は「基準が患者の実態に即していない。米ぬか油を摂取した事実で認定すべきだ」と主張しています。

子どもや孫など次世代にも油症の影響が現れています。

認定患者男性の子どもも顔や背中にひどいニキビが出て、腫れたり膿が出たりして悩まされています。

しかし、油症検診を受けても数値が基準以下となるため、患者認定されません。

認定患者を対象とした厚生労働省の健康実態調査(2008年)では、回答者の約4割が、事件発生後に生まれた子どもに身体症状がある、と答えています。

そのうち3割以上が、「湿疹ができやすい」「疲れやすい」「鼻血がよく出る」などの症状があると回答しています。

PCBやダイオキシン類は、胎盤や母乳を通じて母から子に影響するとの研究結果があります。

それでも、子や孫世代で患者認定を受けている人は多くないのです。

「父から子」の影響については未だ解明されていませんが、症状を訴える人はいます。

油症被害者たちは国に訴え続け、ようやく8月から認定患者の子や孫を対象にした初の健康調査が始まりました。

調査票で症状を聞き取るほか、油症検診の受診も求め、患者に認定するかどうか判断します。

カネミ油症事件については、2012年に被害者救済法が成立しましたが、
健康不安や差別に苦しむ子や孫らの大半は患者認定されていませんでした。

今回の国による健康実態調査の実施、
それによる認定基準の見直しが行われることが期待されます。

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