私達の銀河の中心には超大質量ブラックホールがある

私達の地球がある太陽系、その太陽系が属する天の川銀河の中心に位置する電波源「いて座A*(エースター)」の周りでは、いくつもの恒星が高速で公転しています。

天の川銀河中心と、いて座A*」周辺の星々のイラスト(出典:International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva/(Spaceengine). Acknowledgement: M. Zamani (NSF’s NOIRLab))

この運動の様子から、いて座A*は大質量の天体があることがわかり、
また、非常にコンパクトでもあるため、その正体は超高密度天体のブラックホールに違いないと結論づけられました。

いて座A*が超大質量ブラックホールという発見は2020年にノーベル物理学賞が与えられています。

これまでの観測結果は超大質量ブラックホールがなければ説明できないものですが、
他の天体が含まれている可能性を否定するものではありません。

たとえば、いて座A*のすぐ近くに星や小型ブラックホール、ガスやダークマターなどが集まって、
周りの星を引っ張る質量に貢献しているかもしれないのです。

ヨーロッパ南天天文台やドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所などの研究者から成るチーム「GRAVITYコラボレーション」は、
いて座A*を回る恒星の位置と速度をこれまで以上に精密に計測しました。

4基のVLTを組み合わせたVLT干渉計(VLTI)による撮影で、いて座A(Sgr A)周辺が今までにないほど鮮明に撮影されました。

いて座A(Sgr A)の周りの恒星S29とS55の軌道をとらえた画像

出典:ESO/GRAVITY collaboration

一般相対性理論によると、質量が分散して広がっていた場合と1か所に集中していた場合とでは、その周りを運動する星の動きは異なります。

つまり、いて座A*周辺の星の運動が精密に観測できれば、
超大質量ブラックホール以外に質量を持った天体が存在するのかを確かめられるというわけです。

知られている中で一番いて座A*に近い恒星の軌道より内側には、
太陽の約430万倍の質量が詰まっていることがわかっています。

今回の観測で、その99.9%が超大質量ブラックホールだと判明しました。

それ以外の天体はどんなに多くても0.1%しか寄与していないということです。

いて座A*の質量はおよそ太陽430万個分といってよいでしょう。

また、観測を通じて太陽からいて座A*までの距離も再計算され、2万7000光年と求められました。

今回の観測による他の成果として、この領域に新たに恒星が見つかったことが挙げられます。

また、2021年5月後半には恒星S29が、いて座A*から太陽・地球間距離の約90倍に当たる130億km離れたところを秒速8740km(時速約3146万km、光速の約2.9%)という猛スピードで通過しました。

これは観測史上いて座A*に最も近づいた恒星であり、この領域で最も速く動いた星でもあります。

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